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東京二期会2015-16シーズンラインアップ

第289回

2014年10月1日

東京二期会の2015-16シーズンのラインアップが発表されました。

何はさておき、その一覧をご覧いただきましょう。

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●2015年5月 ≪二期会ニューウェーブ・オペラ劇場公演≫
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル
『ジューリオ・チェーザレ(エジプトのジュリアス・シーザー)』オペラ全3幕
指揮:鈴木秀美/演出:菅尾 友

●2015年7月 ≪東京二期会オペラ劇場公演≫
リンツ州立劇場との共同制作
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト 『魔笛』オペラ全2幕
指揮:デニス・ラッセル・デイヴィス/演出:宮本亜門
管弦楽:読売日本交響楽団  東京文化会館 大ホール

●2015年10月 ≪東京二期会オペラ劇場公演≫
リヒャルト・シュトラウス『ダナエの愛』オペラ全3幕
指揮:準・メルクル/演出:深作健太
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
東京文化会館 大ホール

●2015年11月 ≪東京二期会オペラ劇場公演≫
ヨハン・シュトラウス『ウィーン気質』オペレッタ全3幕(日本語訳詞上演)
指揮:阪 哲朗/演出:荻田浩一
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
日生劇場

●2016年2月 ≪東京二期会オペラ劇場公演≫
ジュゼッペ・ヴェルディ『イル・トロヴァトーレ』オペラ全4部
指揮:アンドレア・バッティストーニ/演出:(未定)
管弦楽:東京都交響楽団

●2016年7月 ≪東京二期会オペラ劇場公演≫
《二期会名作オペラ祭》
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト 『フィガロの結婚』オペラ全4幕
指揮:ミヒャエル・シェーネヴァント/演出:宮本亜門
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

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まずはヘンデルの「ジュリアス・シーザー」。二期会は10年ほど前にこの作品を鈴木雅明さんの指揮で取り上げていました。今回は弟さんの秀美さん。チェロの名手であり、徹底して調べ上げ、つくり上げるタイプ。

演出の菅尾さんは5年ほどベルリンのコーミッシェ・オパーの演出部にいらっしゃいました。もちろん見習いではなくプロのスタッフとしてです。音楽家以外でも段々こういうキャリアの方の層が厚くなってきましたが、実際上の実績も上げておられる菅尾さんのワールドレベルの演出が楽しみですね。

続いてリンツとの共同制作の亜門魔笛。これはリンツでは既に上演され、ヨーロッパのオペラ系のマスコミでは随分話題になっていました。なんといっても券売率が95%を超えているそうで、どこも四苦八苦しているチケット販売でこの数字は大変なものです。話題のウェザー=メストなども指揮しているようで、このプロダクションはヨーロッパのスタンダードに入ったようです。

日本公演ももちろんリンツと同じくデニス・ラッセル・デイヴィス指揮。現代音楽でも定評のある彼ですが、一番好きなのはモーツァルトだとか。

次のシュトラウスの「ダナエの愛」はこのシーズンの最大の目玉と言っていいでしょう。シュトラウス晩年の円熟期の名作なのに、初演が第二次大戦にぶつかったり、あれやこれやで世界中でもあまり上演されません。あそことあそこと、と全体が数えられるくらいですが、それに今回挑むのがオペラ初演出の深作健太さん。お父上深作欣二さんのイメージからしたら考えにくいのですが、健太さんは「オペラを見るためにだけドイツに長期間滞在する」ほどのオペラ好き。そのデビューとして、あまり前例の無い、自由にアプローチできるこの作品は絶好かもしれません。

指揮は逆にミュンヘン在住でシュトラウスは「おらが街の作曲家」でなんでも来い、という準・メルクル。実力派ですから前回のイドメネオ、そしてこれ、と馴染みの少ない作品の良さをえぐりだしてもらうには絶好の人選といったところ。

続く「ウィーン気質」もそんなに上演されない作品を、ヨーロッパでオペレッタの実績十分な阪さんが振るのですから、これまた見逃せません。

演出の荻田さんは宝塚で打込み系のエレクトリック音楽を使ったりもする鬼才。会場が日生劇場というのもこの作品にぴったりでしょう。

そしてイタリア三羽烏、どころか世界のオペラ界でも嘱望されているバッティストーニのイル・トロヴァトーレそして定評ある亜門フィガロ、とくるのですから、なんとも立派なラインアップと言わざるをえません。

各回にはっきりした見どころがあり、とりあえずつないだ・・・・といった回は見当たりません。これだけ充実させるのは大変だったでしょう。皆様是非シーズンチケットなり複数回足を運んで、帯で楽しんでください。(平井洋)